小倉ひとつ。
手を繋いでいても、腕を最大限伸ばして離れるのが精一杯。これ以上は無理。
だから、私の手では触れる部分が少なすぎて、面積を鑑みると多分そんなにぬくぬくしているわけではないはずだけれど、「すみません」と思わず謝った私に、「本当にあたたかいですね」と笑ってくれた。
「立花さんはお寒くないですか」
「大丈夫です、私は寒くありません。冷え性とは縁がなくて冬でもぬくぬくなので、お困りの際にはいつでもお貸しします」
瀧川さんと繋いでいるので、むしろ私は全然寒くないです。
……とは言えなかったので、おどけておいた。
「それはありがたいですね。是非また貸してやってください」
「ええ、是非。またのご利用をお待ちしております」
「お代はお菓子でよろしいですか」
「そうですね、カフェ・オ・レ ボウルを一杯いただきたいです」
「分かりました、またご馳走します」
真面目な顔で話していたのだけれど、このあたりでふたりとも堪え切れなくなって噴き出した。
そうして角を五つか六つ曲がった頃、「こちらです」と示される。
瀧川さんのお家は、マンションの六階だった。
だから、私の手では触れる部分が少なすぎて、面積を鑑みると多分そんなにぬくぬくしているわけではないはずだけれど、「すみません」と思わず謝った私に、「本当にあたたかいですね」と笑ってくれた。
「立花さんはお寒くないですか」
「大丈夫です、私は寒くありません。冷え性とは縁がなくて冬でもぬくぬくなので、お困りの際にはいつでもお貸しします」
瀧川さんと繋いでいるので、むしろ私は全然寒くないです。
……とは言えなかったので、おどけておいた。
「それはありがたいですね。是非また貸してやってください」
「ええ、是非。またのご利用をお待ちしております」
「お代はお菓子でよろしいですか」
「そうですね、カフェ・オ・レ ボウルを一杯いただきたいです」
「分かりました、またご馳走します」
真面目な顔で話していたのだけれど、このあたりでふたりとも堪え切れなくなって噴き出した。
そうして角を五つか六つ曲がった頃、「こちらです」と示される。
瀧川さんのお家は、マンションの六階だった。