小倉ひとつ。
「瀧川さん、あんさしとあんべらってお持ちですか?」


あんさしは、意味としては水差しのあんこバージョンだと思ってもらえばいいと思う。形としては、全然水差しに似ていないけれど。


パウンドケーキの型紙みたいな上が開いた直方体で、たい焼きの型の中に落とすあんこを整形するためのものなので、結構細長い。


その型に詰めたあんこを、へらで切るようにして整形する。


家庭用たい焼き器にはやっぱり付属していないので、欲しければ自分で買い足す必要がある。


「いえ、持っていないんですが、あった方が作りやすいですか?」

「いえ、なくても全然問題ありません。そうしたら、あんこは握ってしまいましょうか」


元々あんこが細長い直方体にパッケージされているものだとそのままざっくり分ければいいから楽なのだけれど、今回瀧川さんが用意してくださった小倉あんはオーソドックスな袋に入っているものだったので、整形しないといけない。


お寿司のシャリを握るように、あんこをたい焼き器の型の大きさに合わせて細長く握っておく。


このくらいです、と瀧川さんにも自分のぶんを握ってもらった。


……手大きいのいいなあ、握りやすそう。


羨みつつあんこを整形したところで、大体十分経過。いよいよたい焼き器の出番だ。
< 191 / 420 >

この作品をシェア

pagetop