小倉ひとつ。
「ズレてしまったら、ひっくり返してすぐに修正してください。あとは開けないことです」


放置する間にまな板と包丁を準備してもらって、とにかく開けないで待った。


無理に取り出すと崩れるので、竹串でしっぽから縁をぐるっと一周して外したら、ゆっくり持ち上げる。


熱いのは我慢。うう、でも熱い。


網の上で粗熱を取る。


よかった、ひとまず見た目は綺麗にできた。なんとか面目躍如だよ。


ハネがあるときはハサミで切っちゃおうと思っていた。


ハネがついてるのも美味しいんだけれど、型からはみ出したぶんがハネとしてつくわけで、結構ぼこぼこになっちゃうから、見た目を考えるなら切り落とす方が綺麗。


「食べてみます?」

「食べましょう食べましょう」


たい焼きをまな板に移した。まだほかほかしているけれど、もう熱くはない。


「生焼けだと困るので、割ってみてもいいですか?」

「ああ、なるほど。もちろんです」


割ってみて生焼けでないかどうかを確認。


手でやってもし割り口がぼろぼろになったら嫌なので、小さいまな板と包丁を借りた。

青くて丸いプラスチックのもので、小さい果物をちょっと剥くのにちょうどよさそうなまな板。


包丁で潰れないように綺麗に割ったら、さくりとちゃんと焼けている音とともに刃が入って、断面も綺麗だった。よ、よかった。
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