小倉ひとつ。
「お疲れさまです、早いですね。大学もそろそろ始まりますよね?」

「ありがとうございます。初売りもありますので。大学は来週からですね」

「ああ、初売りのときはこのあたりまで並びますからね」


瀧川さんがお疲れさまですをもう一度くれた。


ありがとうございます。優しい。


「四年生だと、もうすぐテスト……というか卒論でお忙しい時期ですよね」

「そうなんです。でも、嬉しいことにテストは今年はほとんどないですね。レポートが少しと卒論の提出が待っているんですが、卒論は無事もうすぐ書き終わるので。今最後のまとめを書いているところです」


締め切りは一月末。順調である。


「お早い……! おめでとうございます、安心ですね。それではお正月も卒論を書くのにお忙しかったんじゃないですか?」

「いえ、それほどは。元々三年生のときの講義で発表したものを発展させて書いているので、少し書き始めが早かったんです」


私の大学はゼミに入るのが三年生の後期からで、それまでにいろいろと気になる先生の講義を受けて入りたいところを決めておく。


楽しそうだなあと顔を出した講義が予想通りとても楽しかったので、そこに即決した。


希望者が多いときは抽選になるものの、私のゼミは抽選を免れたので、無事好きな先生のところで好きなことをやっている。


分野としては資料集めをきちんとしたら後は自分が頑張るしかないので、早めに始めておくと楽になる。


こまめに相談に行ってはいたから、大幅な訂正や指摘はないと思う。書き上げたら提出するだけだ。
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