笑え、オリオン座

「優さん、お迎えが来ましたよ。」
突然扉の方から男の声がした。
見ると、派手な格好をした男が立っていた。
ーー私、扉が開いたのにそれに気づかなかったの…?
優と呼ばれた電車の彼は、振り向き、それからこちらを見て、扉の方へと歩いていった。
木の軋む音がして扉がしまる。
その直後、疲労感が襲ってきて瞼が重くなる。
そのまま重力に従うように瞼を閉じ、眠りに落ちた。

騒がしい音がして目を覚ます。
ずいぶん寝ていたようで、日付が変わったようだ。
体を起こすと、そこはさっきいた部屋とは違う場所だった。
周りを見渡し、騒がしい理由を理解する。
この部屋には、さっきの部屋にいた人たちがそのまま移されたようで、ただ一つ違うのは女性の手足もロープで縛られているということ。
騒がしい理由は、中年の男性が扉に体当たりをしていたからだった。
扉は先程の古い木製ではなく金属製でぽっちゃりとした男性の体当たりでは壊れそうもなかった。
私以外のここにいる人たちは扉に体当たりする男性をただ眺めている。
他力本願とはこのことだろうか、中年男性以外はこの状況をどうにかしようとは考えているように見えなかった。
私もなにかできることがあるだろうかと、立ち上がろうとするがロープで縛られているせいで上手くバランスがとれず転んでしまった。
ちょうどそのとき、鍵の開く音がして扉が開かれる。
そのせいで中年男性も転んでしまう。
そこに立っていたのは、先程の派手な男だった。







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