笑え、オリオン座

ゆっくりと停車する。
車を降りようとすると、優に止められた。
「ドアを開けるのはあいつの仕事。奪っちゃダメだよ。」
そう言われて、待っているとスーツの男の人がドアを開けてくれた。
当たり前のようにドアを開けてもらう優だけど、それは威張っているとかそういうことじゃなくて、使用人のことを考えているんだと思うと優のイメージが少しよくなった。

車から出ると、色んな人からの視線が痛い。
ーー忘れてた、高級車だった。
優は周りからの視線を気にもせず、私の手をとって歩き出す。
繋がれた手に驚きはしなかった。
優の繋ぎ方があまりにも自然で、まるでそれが当たり前のような、そんな感じがしたから。
ふと振り返ると、スーツの男の人がこちらに礼をした。
それにつられて私も軽く会釈する。
どうやら、男の人はついてこないようだ。
そのことに少しホッとした。

優は、私の手を握ったまま料金案内と書かれた看板の方へと歩く。
すれ違う女の子たちが優のことをチラチラと見ているから、隣を歩くのが少し恥ずかしかった。
「大人2枚お願いします。」
入園料をおごってくれた。
そういうことを出来るってすごいと思う、お金持ち関係なく。
私も払おうとしたんだけど
『なに?俺がやることにケチつけるの?西園寺だよ?俺。』
ってニヤニヤしながら言うからやめた。
多分優は冗談で言ったんだろうけど。
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