笑え、オリオン座

遊園地の中に入り、地図をもらう。
「どこいきたい?」
優はさっきとは違った優しい声で聞いてくる。
「じゃあ、ジェットコースター乗りたい」
そう言うと優の表情が暗くなった。
「…、ほんとに?」
声もさっきよりも低い。
ーーもしかして…、
「ジェットコースター恐いの?」
「別にそうじゃないけど…。」
暗い表情が明るくならない優とは対称に、私はどんどん笑顔になっていく。
「ほら、行こう。」
無理矢理優を引っ張る。
さっきまでは優が私の前を歩いてたのに、今は逆。
ーーなんだ、可愛いの笑顔だけじゃないじゃん。

ジェットコースターのところへ行くと、長い列があった。
見ると、30分待ち。
「ほら、違うとこ行こう。」
優は私を引っ張るけど、
「ううん、並ぶ。」
私がそう言った途端、優はあからさまに嫌な顔をした。

それから30分、優はどれだけジェットコースターが危険で恐いものなのかを力説した。
ーーやっぱり恐いんじゃん。
そして、私たちに順番が回ってきたとき、
「ほんとに乗るの?」
なんだか、泣きそうで可哀想だったから、私一人で乗った。

「おかえり」
ジェットコースターから降りた私を満面の笑みで優は迎えてくれる。
ジェットコースターに乗らずに済んだのがよっぽど嬉しかったみたいだった。




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