笑え、オリオン座
「ついたよ」
ーー手、ごつごつしてる。
「聞いてる?」
ーー男の人ってみんなこうなのかな。
「俺の手なんて見て面白いですか?」
気がつくと、目の前に優の顔がある。
優がしゃがんで私の顔を覗きこんでいた。
ーービックリした…。
鼓動が速くなる。
顔に熱が集まっていく気がした。
「顔、赤いよ?」
意地悪な笑みを浮かべて優は言う。
その言葉で更に鼓動は速くなり、顔にはもっと熱が集まり、なんだか目眩に似た変な感じがする。
「行こうか」
優は立ち上がり、私の手を引く。
冬の冷たい風が顔に集まった熱を奪い、気持ちがよかった。
下がっていく熱とは対称的に、鼓動は更に速くなる。
さっきまで熱は顔に集まっていたが、今は優と繋いでいる手に集まっている気がした。