笑え、オリオン座

係りの人に券を渡し、中に入る。
周りには子供がたくさんいて、なんだか恥ずかしくなった。
「どれに乗る?」
「じゃあ、あの馬。」
私が指を指すと、優が手を引いてくれた。
子供の頃は高くて、お父さんに乗せてもらっていた馬が、今は小さく感じた。
ーーこんな小さかったんだ…。
私が馬に乗ると、その隣の馬に優が乗る。
子供用に作られた小さい馬は、優とはなんだか合わない。
ーーミスマッチング…。
同じことを思っていたのか、優は私を見て笑っている。
ーー失礼な。
私も同じことを考えていたのに、なんだか不平等な気がして頬を膨らます。
それを見て優はもっと笑った。

それから、コーヒーカップ、ミニゲーム、お土産屋をぶらぶらし、見つけたスタンプラリーもクリアした。
辺りは暗くなり、時計を見ると、閉園まであと30分ほど。
「最後に、観覧車乗ろ。」
そう言って優は、私の手を引く。
ーー手、やっぱりおっきい
さっきまでなんともなかったのに、鼓動が速くなる。
優に気づかれるのがなんだか恐くなって、下を向いた。
他のことを考えようとすると頭がパンクしたように訳がわからなくなる。
どうしようと考えているうちに、優は立ち止まった。
顔を上げると、こちらを向いている優と目があった。
柔らかく微笑むと、優はまた歩き出す。
見ると、観覧車はすぐそこだった。
< 23 / 24 >

この作品をシェア

pagetop