笑え、オリオン座

優に手を引かれて乗り込んだのは、黄色いゴンドラ。
繋いだ手は今もそのまま。
向かい合って座ろうとしたら、優に引っ張られ、隣に座ることになった。
優は微妙に空いた私との距離を詰める。
なんだか恥ずかしくなって少し間を空ける、それを優が詰める。
そうして、私はすみへと追い詰められた。
恥ずかしくなって下を向くと、優が笑ったような気がした。

繋いでいた手が一旦離れ、恋人繋ぎに変わる
意識が繋がれている手に集まり、顔に熱がこもる
優は繋いでいない方の手で私の顔を優に向けた
「赤いね。」
意地悪そうな笑顔で優はそう言うと、ゆっくり顔を近づけてきた
ギリギリ顔と顔が触れない位置で止まり、
「この観覧車のジンクスって知ってる?」
ときく
近すぎて焦点の合わない私は微かに笑っている優の目のあたりを見つめながら、フルフルと首を横にふった
「ありきたりだけどさ、頂上でキスしたカップルは永遠に結ばれるんだって。」
そう言ってまた優はぐっと距離を詰める
キスしていないのが不思議なほどに近い距離
いつもならあり得ない出来事に頭が思考を停止して、
目がチカチカ、頭に靄がかかって、なぜだか周りがキラキラしているような、そんな気分


「もう頂上だよ」


自分がどこを見ているのか分からない状態でのその言葉は、とてつもない破壊力を持っていて、自分がどうしたらいいのか分からなくて、体が動かず、自分のものじゃないみたいで

優は…。




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