笑え、オリオン座
その音がした方へ目を向けると、立っていた人が倒れていた。
そして、他にも立っていた人たちが次々と重力に従うようにバタリバタリと倒れていく。
ふと見れば、席に座っている人たちも眠っているようだった。
いや、もし立っている人と同じなら、気絶しているかもしれない。
それなら、運転手は大丈夫なのだろうか、今も走行を続けているがもし仮に運転手が気絶していたら…。
確認してみようと、運転席へ向かおうとするが足が動かない。
痺れているわけじゃない。
切断されたわけでも、神経が通ってないわけでもない。
ちゃんとあるし、確かに手触りだってなにも変わったところはない。
おかしい、そう思ったとき、急に睡魔に襲われた。
瞼が下に下がる。
眠ってはいけない、そう本能が告げているような気がして必死に瞼をこじ開けようとする。
でも瞼に鉄の重りがついたように動かない。
手で無理矢理でも目を開けようと思ったが、腕すらも動かなくなっていた。
それでもうっすらと目を開け、狭い視界を使って周りを見渡す。
ぼやけているが、立っている人がいた。
この状況でよく立っていられるもんだと頭のどこがで感じていた。
どうにかその人にピントを合わせようとする。
そして、眠る寸前、私が見たのは学ランを着た黒い髪の男だった。