笑え、オリオン座

寒い、そう感じて目を開ける。
やけに頭の中がクリアで夢なのかと一瞬考えた。
周りを見渡すと、そこは廃墟のようだった。
床も壁も天井もコンクリートで出来ていて薄暗い。
照明が一つついているが、小さくて光を十分に発していなかったので、照明としての役割を果たしていないに等しかった。
私の他にも人がいて、中年の男性や女性、お年寄りまでいる。
ざっと見て感じたことは、この中では私が一番若いこと。
男性は足と手をロープで縛られているけど、女性はなにもされていないこと。
私たちは扉から離れた1ヶ所に固められていること。
私以外は誰も起きていないこと、だった。

この状況が現実だと信じられなくて、部屋のなかをぐるぐると歩き回ってみる。
足音が部屋に響く。
なにかの映画みたいだと思った。
手の届く位置に窓がある。
開けてみようと鍵に手をのばし、開けようとする。
古くて錆びているのか、開くことが出来なかった。

窓を諦め、扉の方へと向かう。
扉は木製で、いかにも古そうな見た目だった。
ドアノブに手をかけ、引く。
木の軋む音がしたあと、開いた。
そこは、廊下のようだった。
部屋を出て、右を向く。
そこは行き止まりでなにもない。
左は長く廊下が続いているようだった。
天井には照明がついてるが、部屋にあるものと同様に十分に光を発していなかった。
廊下にはたくさんの扉があり、私が倒れていた部屋と同じようなものがあるんだろうと思った。
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