PromiseRing
 ちゅっ。

ふわりと香る、上品な香水の匂い。
髪をアップにしているため、露わになっているうなじに……少し湿った、柔らかい感触。

「!?」

 チン。

開くエレベーターのドア。
私の横をニヤリと笑って通り過ぎ、降りていく多賀谷社長。

ドアが閉まり始めて我に返り、慌てて開くのボタンを押して降りる。
多賀谷社長の後を追い、どうにか一歩早く、社長室の前に立った。

 コンコン。

「多賀谷社長をお連れしました」

「悪いな、成紀(しげき)。
忙しいのに呼び出して」

「いや、別についでもあったし。
……」

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