PromiseRing
「……はい。
ありがとうございます。
キリのいいところで、帰らせていただきます」

無理はするなよ、そう云って許可をくれた課長に感謝。
三十分ほど仕事をし、課長に挨拶して部署を出る。
エレベーターに乗ると、一番会いたくない人がいた。

「熱でもあるのか?」

「……」

なぜか心配そうな多賀谷社長を無視する。
というか、かまっている余裕がない。
熱であたまはぼーっとしているし、足下がおぼつかなくなってる気がする。

「送ってやろうか」

「……結構、です」

「でも、かなり具合……おっと!」

思わずふらついたら、慌てて支えてくれた。
ふんわりと匂う香水に、よけいにくらくらしてくる。

「……大丈夫、なので」

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