PromiseRing
「大丈夫じゃないだろ。
人の好意は素直に受けとけ」

「……」

少し怒っている多賀谷社長の言葉に、もっともだと思う。
立っているのもつらくて、そっと身体を預けたら、ちゃんと支えてくれた。
地下の駐車場に連れて行かれて、白のスポーツタイプの左ハンドルに乗せられた。

「家は?」

「……私の、家……は……」

意識が朦朧としてうまく喋ることができない。

……そんなに熱、出てるんだ。
なんか息も、苦しい。

「……もういい」

苦しげな多賀谷社長の声を最後に、意識は闇に飲み込まれた。

 
気がついたら知らない天井、知らないベッド、……知らない、部屋。

……ここ、どこ?のど、乾いた……。
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