PromiseRing
「気付いたか?」

部屋に入ってきたのは、たぶん多賀谷社長。

……眼鏡を外されてるせいで、よく見えない、から。

「のど、乾いてないか?」

そっと私を支えて起きあがらせると、コップを渡してくれた。
中身はスポーツ飲料みたいで、私はそれを一気に飲み干した。

「慌てなくていいからな。
お代わり、いるか?」

黙って首を振ると、また私を寝かせてくれる。
額に張ってあった、冷却シートも取り替えてくれた。

「まだ熱あるから。
心配しないで寝てろ」

枕元に座って、あたまを撫でてくれる手になぜか安心する。
そのままゆっくりと、今度は心地いい眠りへと落ちていった。

 
朝になって目が覚めると、やっぱり知らない部屋。
眼鏡を探すと、サイドテーブルに置いてあった。

……とりあえず、体調の悪さは感じない。
たぶん熱も、下がってる。
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