【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
今後を、明確に分ける問いかけ。
それに「いいよ」と答えた彼は、莉胡に向かって優しく微笑む。──すぐに迎えにいくよ、と。
「なら、本来は許されないが……
俺も私情を挟ませてもらうことにする」
「へえ」
「莉胡を渡す気はない。
……その"お遊び"に付き合う気はなかったが、これ以上莉胡とのことに干渉されても困るからな」
「つまり、莉胡を自分のものだって証明するために俺らを敵に回すってことね」
「好きに捉えればいい」
……正直。
この人が西の人間に負ける気はしない。だけど莉胡と俺がこっちの人間なんだから、東の人数や戦法もある程度把握済み。なんとも言えない勝負だ。
「じゃあ、俺が勝った時は莉胡を返してよ?」
「……ああ。
ただし西が勝てば、莉胡には二度と近づくな」
「いいよ。……負けるわけないしね」
にこり。笑みを絶やさない十色さんは、「帰るよミヤケ」とすこし離れたところにいた男に声をかける。
先に車に乗り込む十色さんと、一度なにか言いたげに俺を振り返って、結局はそのまま乗車するミヤケ。
「……東西の夏休み最終日は一緒らしいね。
その日、東は暴走する。──待ってるよ」
「新しい女でも探してろよ」
挑発も軽く「じゃあ」と流した十色さん。
ちゃっかり莉胡にまたね、と声をかけてから、車は発進する。──そして。