【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-



由真ちゃんつながりで千瀬と仲直りできるかな、と思ったのはさすがに甘かったみたいだけど。

決して自分の感情を押し付けたりせず、わたしの意見を聞きつつも自分の意見を言ってくれる彼女は、わたしにとって貴重な友だち。



男の子とばかり関わっていたから、話し始めた頃はすこし不安だったりもしたのだけれど。

由真ちゃんの人柄の良さで、ある程度うまくいっている。



「ふふっ、それならよかった。

夏休みに入ってからネットで調べてたら、ちょうどショッピングモールで水着のコーナーの展開やってるんだって!」



「由真ちゃんも水着買うの?」



「うん。

毎年変えるのもなあって思ったんだけど……去年まで中学生だったから、今年は高校生らしいのがいいなあって」



「わたしも去年買ってもらったんだけど……

ちょっとサイズ的に着れなくなっちゃって」



十色が選んでくれただけあって、デザインはすごくかわいい。

白地に花柄のセパレート型で、わたしは今年も着ようと思ってたんだけど。ちょっと前に引っ張り出して着てみたら、着れなくなっていた。




「……? 身長伸びたの?」



「身長は去年とそう変わらないんだけど……

胸の方がきつくなっちゃったから着れないの」



一瞬きょとんとした由真ちゃんは、くすっと小さく笑う。それにすら嫌味を感じないんだから、由真ちゃんってすごい。

というか1年前にわたしがみんなと出会っていたとしたら、確実にトモにはネタにされそうだ。この間も痩せたなって言われたし。失礼な。



「そっか、わたしはあんまり変わらないけど、女の子だと胸のサイズで着れなくなっちゃうんだよね。

男の子はいま成長期の子も多いから、身長の問題で服着れなくなっちゃうって言ってたよ」



「そうね。

……千瀬も1年前から、だいぶ身長伸びたし」



すこし前まではわたしよりほんのすこし、身長が高いぐらいだったのに。

気づけばどんどん伸びてしまって、いまでは15センチ以上差がある。男の子の成長ってはやい。



「そっか、莉胡ちゃんと千瀬くん幼なじみなんだもんね。

いいなあ、莉胡ちゃん。千瀬くんの小さい頃のことも、いっぱい知ってて」



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