【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
「つーかお前、まだ莉胡と仲直りしてねーの?」
唐突すぎる話題の変更。
こういうところもミヤケそっくりだな。……あいつの場合は、大抵俺の話を聞いてないから自分勝手に喋り出すだけだけど。
「……べつに喧嘩したわけじゃないよ」
「さっさと"ごめん"って言えよ~」
「……わかってる」
べつに謝りたくない理由があるわけじゃない。
ただ俺は……なんて、これすらも俺のわがままでしかないのか。──いつからだっただろう。莉胡に素直にごめんって言えなくなったのは。
俺が素直に謝るときはいつだって、莉胡に嫌われると思ったときだけ。
……自分勝手で、ばかみたいだ。
「千瀬さ~……
由真のこと好きじゃないんだろ?」
「……そんなこと一言も言ってないよ」
「見てればわかるっての~。
……春が莉胡と付き合ってから、お前は莉胡のこと遠ざけるような態度ばっかり取るじゃねえの」
──ああ、そうか。
素直に謝れなくなったのは、莉胡が春と付き合ったあの時からだ。
「……オメーさ、莉胡のこと好きだろ」
「それも言ったことないけどね」
「わざと好きだって言わないんだろ~?
……でもほんとは、春にも渡したくないって思ってる」