【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-



「ん、ほら。莉胡の好きないちご」



「……ありがと」



差し出されたスプーンに乗るいちごをぱくりと食べて、当たり前のように好みを知っているこの関係に、ひどく心地よさを感じる。

お礼と言って白玉をあげたら、「俺別に白玉好きじゃないよ」と言われた。もちろん知ってるけど。



「千瀬、マンゴーもちょうだい」



「抹茶食べながらフルーツ食べたら味混ざらない?」



そんなことを言いつつも、「あーん」とスプーンを差し出してくれる千瀬。

何度か咀嚼してからお礼を言っていれば、ふと背後から聞こえた声。



「いいなあ、カップル。

彼氏めっちゃイケメンだけど彼女もかわいいし……あんなふうに甘えられたら彼氏も甘やかしちゃうよね」




ん?と。

思わず振り返れば、そう話していた女の子ふたり組が、すこし気まずげに視線をそらした。



……カップルって、もしかして、

わたしと千瀬のこと言ってたりする?



「……っ、完全に勘違いされてる」



「だろうね」



だろうね、って……!

わたしはこんなに動揺してるのに、どうしてそんなに平然としてられるの!?と言いたくなるのはただの八つ当たりであって。



「………」



「……キスでもしとく?」



< 150 / 232 >

この作品をシェア

pagetop