【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-



しれっと。

しれっとそう言う千瀬に、「な、っ」と声を上げそうになった。その代わりに自覚できるぐらい赤くなる頬。恥ずかしくて、本当にいたたまれない。



「し、ない」



「そう。……まあ冗談だけど」



顔赤いよ?と楽しそうに言われて、余計に頬が色づく。

一体誰のせいだと思ってるんだ。かき氷を食べて身体は冷えてるはずなのに、千瀬の視線に晒されているだけで、心臓が異常なほど働いてるみたいに全身が熱くなる。



「千瀬、」



「ん?」



「わたしがもし……

"する"って答えたら、一体、どうするつもりだったの」




馬鹿な問いかけをしていることはわかってる。

だけど、それでも、知りたかったの。



「……言う相手がまちがってるんじゃない?」



くっと、目を細める千瀬。

スプーンを置いたかと思うと、わたしの頬を滑らかにたどる親指。呼吸が浅くなって、たまらずにまぶたを伏せる。



「容易に言わない方がいいよ。

……惑わされる男は少なくないんだから」



千瀬だけ、なんて。

そんな言葉を言ったらどんな反応をするだろうかとぐるぐる考えていたら、手を持ち上げられる感触に、思わず閉じていた目を開ける。



そのせいで。



「っ……、」



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