【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
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「ふはっ……
おま、っ、実物見たから知ってたけど、やっぱお前が着てんの見たら、ははっ、やべえ笑える」
「7代目副総長におまえ指名したけどやっぱりやめるわ」
「……! 悪かったって……!
このとーり!許してちーくん!」
「1回でいいから死んできて」
「!?
死んだら1回も何もねーだろ!?」
「だったらはじめから黙ってろよ」
懐かしい掛け合いに、くすりと小さく笑う。
それはどうやらわたしだけじゃないようで、千瀬とミヤケの仲良しがひと目でわかるやり取りを下っ端のみんなもどこか懐かしむように見ていて、ちょっと微笑ましくなった。
「ちーくんってさー。
……ミヤケくん?と、おしゃべりしてるとき、ものすごく口悪くなるよね」
「千瀬がそうなるぐらい仲良しなのよ。
出会ってからずっと、ミヤケとはあんな感じ。雰囲気が似てるから、トモと話してる時もあんな感じだったでしょ?」
……まったく。
今日は千瀬が月霞にもどることを正式に十色が告げて、数ヶ月後7代目に就任することをお知らせする会だったのに。
織春が十色に言おうとしていた条件は、千瀬を7代目にしてそのときに手を組む。
そして残りの幹部は先代ではなく千瀬に指名させる、というものだったようで。
千瀬が指名した副総長はミヤケ。
幹部3人のうちひとりは千音で、あとのふたりはじっくり悩んで就任するときに発表すると千瀬が自ら報告した。──そしてもちろん、名前を既に刻んであるとおり。
「6代目では一応姫だったけど、残念ながら正式な姫じゃなかった莉胡。
……可哀想だから7代目の俺が姫にしてあげる」
彼が、そう言ってくれたとき。
十色はくすくす笑ってたし乃詠さんも微笑ましそうにわたしたちを見ていたし。織春は黙ってたけどちょっと笑ってたし、羽泉はあきれてた。