【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-



……でも、そうあって欲しいと、自分でも思うから。

千瀬と結婚したいなあってつぶやいてみたら、「ラブラブだね」と言われてしまった。……まあ、うん。



否定しないぐらいには、ラブラブだし。

千瀬が7代目になるという話を受けてまだ2週間ほどしか経ってないけど、家にふたりの時はそれなりにイチャイチャしてると思う。



付き合ってから知ったけど、千瀬は結構キス魔だ。



「十色が、よくキスする場所で意味が変わるって言ってたじゃない……?

だからほら、頭に残ってて……、千瀬にキスされる度に意味を意識して恥ずかしさ倍増するんだけど、どうしてくれるの」



「ふ。よかったじゃん。

意識する回数だけ、千瀬にキスしてもらえてるって思えば」



ポジティブですね十色さん。

わたしのまわりのイケメンたちは、基本的に甘すぎると思うの。



彼女に対して甘すぎると思うの。

千瀬に毎日のように愛を囁かれるし、土日にはデートも連れていってくれるし、これ以上ないぐらい毎日しあわせに暮らしてるわたしが言うのもなんだけど。




「……あーあ、時間切れかな」



「え?」



なにが?と。

十色を見上げたら、後ろから肩を引かれる感触。



倒れ込む、と身を固くしたわたしの背中は床にはつかず、抱きとめられて彼の腕の中。

時間切れってそういうことかと頭の中で噛み砕いていたら、「馬鹿なの?」と暴言が振ってきた。



「馬鹿って、」



「俺がいちばん話して欲しくない人と楽しそーにしゃべっちゃってさ。

なんなの?莉胡は学習能力がないの?」



ふたりきりのときは甘くてときどき意地悪なのに、

どうしてみんなといる時はほとんど意地悪なのか。



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