【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
言えば満足気な千瀬。
抱きしめてくれて胸に顔をうずめていたら、「好きだよ」って囁いてくれるから。心地よいぬくもりの中で、「わたしも」ってかえした。
そうすれば甘いキスをくれて。
「……ほんとこじらせてるよね。
千瀬ならこんな堂々とキスしないと思ってたけど」
「莉胡に対して俺のネジ色々飛んでるらしいんで。
とりあえず月霞はやく俺にください。莉胡のこと正式に俺のものって言える唯一の機会なんで」
「はいはい。
言わなくてももう全員そんなことわかってるよ」
「……なら、俺の邪魔しないで」
十色に向けてではなく、ちょっと拗ねたように誰にともなく言った千瀬。
それがかわいく見えて「好き」だと簡単に言うわたしのくちびるが、また彼にふさがれる。
「俺が莉胡を、
誰よりもしあわせにしてあげる」
「……千瀬」
「ちゃんとそばにいて。
……莉胡に合うペアリングも、新しい月のペンダントも、俺がちゃんとつくってあげるから」
「……、うん、」
「ああでも……
結婚指輪は、俺の手づくりにはしないからね」
髪を撫でる指先と、触れ合うくちびる。
千瀬は初恋をこじらせてるって言ったけど、たぶんそれは、わたしもおなじだ。
だいすき。
そう囁けば「俺は愛してるけどね」といじわるに返すあなたは。
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◇
──お姫様になりたかった嘘つきなわたしの、たったひとりの騎士(ナイト)様。
【ファントム・ナイト Fin.】