【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
それがいちばん胸にしっくりくる。
ほかから見れば理解できないかもしれないけど、莉胡の言いたいことはちゃんとわかる。
「ん……わかった」
「もー……
ちーくん莉胡ちゃんとしゃべってるときめちゃくちゃしあわせそうじゃんかー。ねー?千秋」
「ふ。
千瀬が誰よりも莉胡のことお姫様だと思ってるからね」
「えっなにそれ、
ちーくんにそんなかわいい思考あったの……!?」
……失礼な。
別に莉胡のことをめちゃくちゃお姫様だと思ってるとか、そんなことはないけど。
莉胡が、お姫様であるのなら。
手を伸ばす先が俺であってほしいと、そう思うだけ。
「すず。
……莉胡がすずにプレゼントあるんだって」
「あっ、そうだった。
千瀬ちょっとすずちゃんのこと抱っこしてて!」
べつにおろしてやってもいいんだけど、とは言わず。
莉胡の腕から俺の元へもどってきたすずは、リビングに置いていた袋を持ってくる莉胡をじいっと視線で追う。
「すずちゃん、3歳のお誕生日おめでとう」
差し出されたそれをすんなり受け取ったすずが、姉貴に「ままっ」と報告する。
よかったね、と微笑んだ彼女と千秋が莉胡にお礼を言えば、うれしそうに笑みを浮かべる莉胡。すずも拙いながら「ありがとう」を伝えていて、ちょっと和んだ。
莉胡は上にも下にも兄妹がいないから、こういうのに慣れてなくて。
でも、人と関わるのが好きな莉胡は、うれしいんだと思う。
莉胡が買ったのは、小さい子にもつけられるヘアゴムとピン留め。
すずの写真を見て一生懸命選んでたのは知ってるし、きっとすずは気に入ってくれると思う。