【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
「あっ社長、お疲れ様です」
「いやいや千秋、
今日は仕事じゃなくてプライベートなんだから」
それから数時間後。
すっかり莉胡の名前を覚えたすずは、ずっと莉胡に遊んでもらっていた。晩ご飯には、千秋たちが来ているのを聞いて、莉胡の両親も来てくれたし。
……まあ大人たちは騒ぎたいだけなんだろうけど。
そういえばおじさんはこの間まで海外行ってたんじゃなかったっけ?と思えば、案の定お土産も持ってきてくれた。
七星家と夏川家って、たぶん何年経ってもこんな感じなんだろうね。
「ん……? どしたの、莉胡」
千秋がひとり暮らししても、姉貴と結婚する前にすずができてしまって後から籍を入れても、すずが大きくなっても。
たぶん俺と莉胡が結婚しても、こんな感じだ。
「なんとなく……?」
大人たちが騒いでるのを横目にリビングのソファに身を沈めていたら、隣にいた莉胡が寄りかかってきた。
すずは割と早くに眠くなってしまったようで、ソファの目の前に敷いてる布団の中で眠ってる。大人たちはどうせ俺らのことなんて気にしてないだろうし。
「……そっか」
莉胡の髪をなでて、大人たちの目を盗んで口づける。
微笑みあって、指を絡めて、すずを横目に見ながらいつか俺たちも家族になれたらいいと、本気で思うから。
「ずっとそばにいてよ?」
「うん……
そばにいるから、そばにいてね」
くすくすと笑った莉胡と、ささやかに未来の約束をしたとある日。
──七星家は、今日も平和だ。
【19.小春日和 Fin.】
(次ページからはじまります『20.妖姿媚態』は
ベリーズカフェ様限定掲載となっています。
野いちごでの読者様読了ありがとうございました)