【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
なにがいいかな、とリビングで寝転がりつつ隣の千瀬に甘えたりなんかして。
結局は冷蔵庫の中身を見て、千瀬がチキンカレーにしようと決めてくれた。
しかも、出来上がった熱々のカレーの上にとろけるチーズを乗せて、溶けてきたところを混ぜて食べるという、ちょっとリッチな気分になれるやつだ。
家にある食材で作れるとなると、買い物に行く必要もない。その分家でイチャイチャしてたら、ミヤケからかかってきた電話。
「なに……? はあ……?
ああうん、十色さんいないなら明日顔出しに行く」
『いやお前それどうなんだよ』
「うるさい。引き継ぐだけマシでしょ」
『お前いまどうせ莉胡といるんだろ?
俺との電話めんどくせーって思いながらしゃべってんだろ?』
ごろごろだらだら。
横向きに寝転んでる千瀬のうしろからぎゅっと抱きついて電話に耳を寄せたら、ミヤケの声が聞こえてくる。
いつも千瀬はわたしの足をはさむようにして寝てるけど、千瀬の身体に腕を回して片足を彼の足に乗せるようにして抱きつくと、彼はちらりと視線を後ろへ流す。
そのまま空いてる手でくしゃりと髪を撫でられて、うれしくなってゆるむ頬を、彼の背に押し付けて隠した。
「わかってんなら切っていい?
いま莉胡が最高にかまって欲しいアピールしてきててかわいいから」
『お前俺に対してノロケ過ぎじゃね?』
「切るよ」
ぷつ、と電話を切った千瀬。
ほんとに切っちゃったらしい。かけ直してくるんじゃと思ったけれどかかってこなくて、いいの?と聞けば「ミヤケだからね」と言われた。
「さてと、晩飯さっさと済ませようか。
風呂も済ませて、今日はゆっくりしよう」
うん、と。
その言葉に小さくうなずく。晩ご飯はお手伝いして、結婚したらこんなふうに生活することになるのかななんて、考えたりして。──1時間半後。