【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
わかる?と。
なだめるような口調の彼に、「うん」とうなずく。
「お互いに困らない相手探してんの。
だから別に相手のこと好きじゃないってのは、莉胡もちゃんとわかってるよね?」
「そんなふうに言わなくてもわかってるもん……」
「じゃあ、ちゃんと理解してよ」
なにを、と尋ねればくちびるをふさがれて。
ひざ立ち状態だったのにまたキスで溶かされてぺたんと座り込むと、甘ったるい視線に当てられて、声で囁かれて、まだ何もされてないのに恥ずかしすぎる。
「俺がこんな風に欲情すんの……
莉胡だけだって、ちゃんとわかってよ」
とさ、とやわらかいマットレスに触れる背中。
言葉の意味を理解して真っ赤になったわたしをじっと見下ろしてくるその熱視線に耐え切れなくて、逃れようとしたら「逃げないで」とキスされる。
「不安なことあるならぜんぶ吐き出して。
怖いって一言でもなんでもいい。我慢せずに全部伝えて」
「っ……いろいろと、幻滅されたら、こわい」
「俺がいったい何に幻滅すんの。
俺が何年莉胡だけ想ってきたか知ってるでしょ」
「やっぱり恥ずかしいし……
些細なことまで言い出したら、キリないぐらい、いっぱいあるもん……」
組み敷かれて、言葉での攻防。
受け入れる気ではいるけどぜんぶ吐き出せと言われれば、やっぱり色々と言ってしまうわけで。
「あのさ。
正直俺、"恥ずかしくないから"とかそういう優しい言葉かけてあげられないんだよね。ぶっちゃけ莉胡にとってっていうか、お互いにとってそれなりに恥ずかしいことするんだし」
「っ……、」