【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
「それにしてもさぁ、
十色さんマジで莉胡のこと大事にしてるよなー」
「兄貴が莉胡ちゃんのことあんなに気に入るとは俺も思わなかったよ。
……なあ?千瀬。莉胡ちゃん、兄貴と付き合ってから、さらに可愛くなったと思わない?」
「……さあ。
あの人なに考えてるかわかんないし。あっさり遊ばれて終わりだったりして」
「千瀬ほんとひどい……
千音くんみたいに気の利いたこと言えないの?ミヤケですら、十色がわたしのこと大事にしてくれてるって言ってるのに」
「いや待てよミヤケですら、ってひどくね!?
俺のことなんだと思ってんだよ!あっ、おいこら莉胡逃げてんじゃねーよ……!」
千瀬、千音くん。……そして、ミヤケ。
ミヤケは学校が違ったけれど、同じ学年な上に3人ともわたしが十色と付き合って間もなく幹部候補になったから、特に仲が良かった。
それこそ。
──十色が、妬いてくれる、くらいに。
「莉胡、あんまり俺以外の男と仲良くしないでよ?
俺うさぎだから、さみしくて死んじゃうよ?」
「ふふ、絶対そんなこと思ってないでしょ?
十色がうさぎだって思ったことないもの」
「うん、かなり嘘言った。
……でも、あんまり俺以外の男と仲良くされたら、妬いちゃうからね?」
ぎゅうっと後ろから抱きしめてくる十色に振り返って、ふふっと微笑む。
振り返って「わかってる」とうなずけば優しく触れるキスに、愛されてることを実感する。
「……すきだよ、莉胡」
「うん、わたしもだいすき」
……ああ、もう。
どうしようもないぐらい、しあわせ。