【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
なぜ彼が学校に普段来ていないのか。
前にちらっと聞いたら、「知らない方がいいこともあるよ」と言われたからそれ以上聞くのはやめた。
それを言ったのが千咲やアルくんなら追求してただろうけど、羽泉だったからやめた。
ちなみにアルくん曰く、「学業サボって仕事してんの」らしい。どんな仕事なのかがシークレットなのだと。
「莉胡、お前ちょっと痩せた?」
「え、ほんとに?痩せた?
最近体重計乗ってないからわかんない」
「いや、胸が」
「……ひさびさに会ったのに一言目がそれなの!?
いまわたしの精神抉られたんだけど!?」
ひどくない!?と。
織春に絡ませたままだった腕を離し、彼に同意を求めれば、織春は「あんまりいじめんなよ」と言ってくれるけど。
「痩せたことは否定してくれないのね……
いや、否定されたらされたで困るんだけど。というか、トモ重いから腕のけて」
「お前ちっせえから腕置きにちょうどいーんだよ」
「わたしはトモの腕置きじゃありませんー」
「んで?
お前ついに春と付き合ったのか」
「おかげさまで。
というかあなたいつから話聞いてたの?」
「ふ。俺をなめんなよ?」
いや、なめんなよ?じゃなくて。
出てきたのはさっきじゃないの、と。腕をのけてもらうために突然しゃがみ込んだら、トモに舌打ちされた。ひどい。