【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
「あー、そーだ、オメーよ。
春と付き合うならそのペンダント、外した方がいーぞ」
「……え?」
「累と対抗してる、月霞っつうチームあるだろ?
あのトップの男が、お前と同じペンダントしてんだよ。……万が一にでもお前が向こうの人間って間違われねえように、外しといた方がいい」
月のペンダントは、月霞のシルシ。
──同じペンダントなのは、当たり前だ。わたしが持っているペンダントは、十色がくれたものだから。
「そうなの? ……じゃあ、外しとくね」
「おー。春に新しいの買ってもらえよ」
それをいまだにつけている、なんて、未練がましいと思われるだろうか。
十色に会ったら、にこりと笑顔で「まだつけてるの?」なんて言われそうだけど。
「今度好きなの買ってやるよ。
それ、お気に入りでつけてたんだろ?」
「……うん。
じゃあ今度、織春に買ってもらおうかな」
月のペンダントを優しくひと撫でして、スクバの表ポケットに入れる。
──そこでかさりと触れた紙のような感触に、ん?とそれを取り出した。……なにこれ、レシート?
「お、電話番号書かれてんじゃねーか。
なに、お前ナンパでもされたの?」
「え、知らないんだけど……」
いつ入れられたんだろう、と。
一瞬思うけれど必要なさそうなそのレシートを、くしゃりと丸めようとして、手を止める。
「……あ、」