【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
「……いや。
東西のことを先に解決したほうが、莉胡も返事しやすいだろ」
「………」
「また来る。……頼んだ」
「──なあ、春」
「なんだ?」
「……いや、なんでもねえ。
とりあえずお前が言ってた映像片っ端から探してやるから、ちゃんと報酬用意しとけよー」
むりやりテンションを変えるような俺の口調の変化に、春は絶対気づいてるだろうけど。
それについては何も言うことなく、「用意しとく」と部屋を出ていった。
「……あいつ、ほんとに本気、か?」
そんな俺の問いかけに答えてくれるヤツなんて、もちろん存在しない。
春と莉胡が出会って、春がひとめぼれだと言った理由を、俺らは知ってる。
だけど、それから数ヶ月経って。
莉胡へのアピールを続けていた春の望みが叶うように、ふたりは付き合った。──それはまるで、自然に見えるけど。
あまりにも、自然過ぎないか?
──いっそ、不自然だと思ってしまうほどに。
「莉胡も春も……
一体お前ら、何考えてんだ……」
……ああ、もう、機械音がうるさい。
画面をスライドして、音楽の音量を一気に上げる。
──情報屋、鴉。
その名前と居場所を俺に与えてくれたのは、今はもうほとんど会うことのない、西の5代目。──あの人がもし、東西統一を望まないと言うのなら、俺は。