【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
「あの人がなに考えてるのか知らないけど……
莉胡は、春側につくってことで、いい?」
「………」
織春に。
姫になってほしい、と言われたのは、ついこの間のこと。それを渋ってしまった理由が、東の男についてだなんて、言えるわけもなくて。
「俺は、莉胡と一緒にいるよ。
東なら東。西なら西。……どっちの味方につくのかだけは、はっきりしておいてほしい」
「東はもう……関係ない」
「……そっか。
それじゃあ、西につくってことでいいよね?」
西につくということは。
織春たちの味方になって、十色と敵対することになる。……そうなればもう、今度こそ。
「うん……
東の味方についても、十色はわたしのものじゃない」
──彼の瞳に、わたしはうつらなくなる。
それこそもう二度と、永遠に。
「じゃあミヤケとも、おしまいか」
「……千瀬、」
「あいつはまだ許容して、こうやって連絡くれてるし、情報もくれるけど。
俺が西の人間になったってことはもう、あいつにとって敵でしかないから」
「……いやなら、東に、残って」
「ううん、いいよ。
それにどうせ俺は……いや、なんでもない」