【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
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朝、目が覚めたら。
いつも通りの部屋と、織春とデートした服のままのわたし。隣に幼なじみの姿はなくて、身体を起こしてスマホを手にしたまま、部屋を出た。
「おはよう」
「あら、おはよう莉胡。
昨日あのまま部屋で寝ちゃったの?」
「うん、そうみたい……
シャワー浴びてから朝ごはん食べるね。千瀬は?」
「千瀬くんなら朝方に帰ったわよ」
仲良しねえ、とニヤニヤされて、ため息をつく。
昨日あれだけわたしの彼氏や千瀬の彼女というワードで騒いでたんだから、わたしと千瀬に何もないのはわかってるでしょ。
……というか。
朝方に帰ったってことは、千瀬もあのまま寝ちゃったのか。
千瀬になにか連絡しようかと思ったけど、何をどう言いたいのかわからなくて、結局やめた。
織春からの返事も来てたけれど、特に大事なものじゃないし、と見ただけで閉じる。
「シャワー浴びてくる」
「はいはい。
あ、お父さんまだ寝てるからね」
「んー……」
今日はどこにも行かないし、と手短にシャワーを済ませて、濡れた髪のまま朝ごはんを食べていたら、
「髪傷むわよ」とお母さんに注意されたことで、ふと思い出す。
「お母さん。……髪染めてもいい?」
「染めるの?
自慢の黒髪だったんでしょ?」