【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-
そうと決まれば、はやく美容室も予約してしまおう。
あと数日行けば夏休みだけれど、いつ染めようかな、と手帳を開いていたら、電話の向こうから『染めたら写真な』という声。
「……え、写真?
染めたよって送れってこと?」
『ああ』
「……いや、普通に染めるだけだから送っても仕方ないでしょ?」
『いちばんに見たいだろ?』
染めるだけなのに、見たいものなのか……
定かじゃないけど、織春が送ってほしいって言うなら、まあ、いい……かな。
どちらにせよ、すぐに会うだろうし。
「いいけど褒めてね?」と冗談交じりに言えば、織春はふっと笑って「もちろん」と返してくれた。
「ねえ、夏休みみんなで遊びに行こうって言ってたじゃない?
あれ、結局どうなったの?」
『あー……それな、』
「うん」
『いま、東西でちょっとトラブってんだよ。
……その影響で、今日も幹部はいねえ』
「え……」
幹部がいないって、相当大きな衝突じゃないの?
軽く扱えないような案件って、ことよね?
『こっちの傘下のかなり下がやられてな。
……東なんじゃねえかって噂は立っててもその証拠が出ねえ分、ロクに動けねえから幹部総出で手掛かり探してんだよ。悪いな、休み中も忙しい可能性がある』