私のご主人様Ⅱ

「ねぇ」

「?」

声かけられた?顔を正面に戻すと、クラスメイトの男子がいた。

確か名前は結城 麻夏(ゆうき まなつ)くん。

よく本を読んでいる、自分からクラスメイトに話しかけに行かない大人しい男の子。身長もそれほど高くなくて顔も中性的な子だ。

話したことはない。むしろクラスメイトに声をかけられたのも初めて。

首をかしげると、持っていたらしい参考書と真っ白なノートを机の上におかれた。

「これ、解ける?解けるならこっちに書いて」

「…」

指で示された問題は英語で、今やっている単元の応用だった。

ノートと一緒に差し出されたボールペンで答えを書き始めると、前の席に腰かけた麻夏くんにノートを覗き込まれる。

解き終えて顔を上げると、麻夏くんはじっと答えを見つめていて、視線は合わない。

「じゃあこれは」

今度は数学。またもや応用。英語の答えの下に書いていると、突然ボールペンを持つ右腕を掴まれた。
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