私のご主人様Ⅱ

頬に触れようとして、指先が当たっただけでも激痛が走る。

あ~。

「な、なにやってんのさ!」

肩を捕まれた直後、ものすごい強さで振り返らせられる。

焦った顔をしている麻夏くんは、私の頬に触れようとして、手を引っ込める。ため息をつくと困ったような顔をされた。

「とにかく保健室行くよっ!」

「!?」

手首を掴まれると、問答無用で引っ張られる。

だけど、反対の手を掴まれて自然と足が止まる。振り返ると、無表情なのか、険しい顔なのかよくわからない顔をしている季龍さん。

私の足が止まれば、麻夏くんの足も止まるわけで、振り返った麻夏くんは季龍さんを見ると表情を険しくさせる。

「手、離して。あんたが怪我させたんだろ」

「…」

「早く離せって!」

麻夏くんの怒鳴り声にも季龍さんは反応しない。それどころか、麻夏くんを視界にすら入れていないように私を見つめてる。

いや、正確には殴った頬を見つめているようだった。
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