私のご主人様Ⅱ
な、んで?抱き締めてくれる手は優しくて、壊れ物を扱うような慎重ささえ感じる。
季龍さんの顔を見ると、すぐ真横にあってまた硬直する。
「悪かった」
「ッ」
耳元で呟くように言われた謝罪に首を横に振る。
私が勝手に間に入っただけ。季龍さんは悪くない。謝らないでよ…。
声がでないことを今以上に恨んだことなんてない。伝える術がなくてただ抱き締められ続けることしかできなかった。
「…」
「…」
沈黙が車内を包む。
静かに車が走り始めると季龍さんはゆっくりと離れたけど、肩を引き寄せられ、ぴったりとくっついた。
「?」
「寝てろ。病院に連れてく」
「!?」
そんなわざわざ!?首をブンブン横に振るけど、季龍さんは変えるつもりがないらしい。