私のご主人様Ⅱ
『ここどこですか?』
「病院だ。すぐに屋敷に戻る」
質問に答えてくれたのは季龍さん。ということは、さっきの女の人がお医者さんなんだ。
というより、私を連れてきても大丈夫なのかな。私が言うことじゃないけど…。
そんな心配をよそに、ドアがまた開いて女のお医者さんが薬とか持って入ってくる。
「薬塗るよ。湿布貼っておくように。あと出来れば冷やしてね」
早口に言いながらテキパキ動くお医者さんは、私の頬に薬を塗るけど…痛い!!思わず固く目を閉じると、大きな湿布を貼られた。
「はい、よし。もし痛みが続くならまたおいでね」
『ありがとうございました』
「ん?…どういたしまして」
タブレットを見せる私にお医者さんは驚いた顔をしながらも言葉を返してくれる。
やっぱり、知らないと驚くよね。
何とか笑うと、季龍さんが立ち上がり、意図も簡単に私を抱き上げるとすぐにお医者さんが入ってきたドアの反対側のドアに向かう。
自分で歩けるのに!遠慮気味に季龍さんを叩いても下ろしてくれる気配はなかった。