私のご主人様Ⅱ
「…見た?」
「…」
「…はは、バカだよね。分かってる。…分かってるの!こんなこと、ダメだって!でもっ!!」
言葉をつまらせ、ボロボロと大粒の涙を流す梨々香ちゃんはあまりにも弱々しい。
いつもの、明るく笑っている梨々香ちゃんとはとても思えない。
…違う。梨々香ちゃんはずっと我慢していたんだ。
怖いのも、寂しいのも我慢して、我慢して、我慢して…。
だから、私にこんなにも甘えてくる。素直に甘えられる母親が、ここにいないから…。
「っ私のせいなの!…お兄ちゃんが、家を出たのも。お父さんから逃げたのも!私の、私が…私がいなければお兄ちゃんは家にいれたのに!!」
「…」
「学校でも、ヤクザの娘だからって、誰も友達になってくれないっ!先生だって!!
私、いつも1人ぼっちなの…。お兄ちゃんしかいないのっ!
でもお兄ちゃん忙しくてそばにいていてくれないっ!
私のせいでお兄ちゃん大変なのにっ傍にいてくれないの、いやなのっ!もっと一緒にいたいよぉ!!」