私のご主人様Ⅱ
また泣き叫ぶ梨々香ちゃんは、幼い子どものようだ。
必死に言葉にしたのは、めちゃくちゃになってしまった思い。話がまとまらなくても、梨々香ちゃんの寂しさが溢れている。
だから、ヤクザだと知られることを恐れて、寂しいのを隠すために笑っていた。
季龍さんに心配をかけないように、必死に隠してきた本心たち。
押さえ込んで、行き先がなくなった思いたちが梨々香ちゃんを追い込んでしまっていたんだ。
『おとうたん…』
脳裏に浮かんだ幼い自分の姿に、身体中に緊張が走る。
…同じだ。幼い頃の私と、寂しいのを我慢していつの間にか泣けなくなった私と…。
梨々香ちゃんにそっと手を伸ばす。少し怯えた顔をする梨々香ちゃんに微笑んで、そっと頭を撫でる。
私じゃあ、季龍さんの代わりにはなれない。それは、私がよく分かってる。
誰かに優しくされても、1番一緒にいて欲しい人がいてくれなきゃ、寂しいままだから。
でも、それでも不思議で、手をさしのべてくれる人がいたら、すごく嬉しいんだ。