私のご主人様Ⅱ

麻夏くんはそんな麻琴さんにめんどくさそうな顔をするけど、私に視線を向けるなりその表情は真剣なものになる。

「昨日は悪かった。…でも、割り込んでくるお前も悪い」

「だから最後のひと言いらないっての!!」

スパーンっと頭を叩かれてしまった麻夏くん。だけど、気にすることなく知らん顔をしていた。

…まさか謝るためにわざわざ?

怒るのに満足したのか、ようやく落ち着いた麻琴さんは私を見て笑みを浮かべる。

「実は琴音ちゃんも話したいなって思ってたの。でも中々永塚くんと離れなかったからチャンスと思って追いかけたんだ。ごめんね」

「永塚とどういう関係?」

「って、麻夏!!少しはオブラートに包みなさいよ!切り出し早すぎんでしょ!」

麻夏くんの直球に驚いたけど、麻琴さんのまわりくどい言い回しよりは素直に入ってくる。

なんだ、謝りたいのもあったかもしれないけど、本心はこっちかな。

さてどうするか…。麻夏くんはとにかく、麻琴さんはどうも信用できない。

使用人だと知られることがどんな不利益になるかよく分からないけど、曖昧な方が下手に手を出しにくい利点もある。

答えるべきか、否か…。様子を伺うように2人を見つめる。
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