私のご主人様Ⅱ
「あんたはいつも直球だからケンカになるんでしょう!?」
「…葉月さんみたいなタイプにまわりくどく言って、ごまかして聞く方が信用されないと思うけど」
「っむむ」
あれ、麻夏くんの勝ち?
麻琴さんは黙りこんで空を見て、やがて肩を落とした。
やっぱり麻夏くんの方が信用できるかな。
決着がついたらしく、また視線を向けられる。
「えっと…その、ごめん。やっぱ気になってて…。永塚くん、今まで傍に誰かを置くことがなかったの。それが、琴音ちゃん来てからずっと傍にいるから、何者なんだろうって」
麻琴さんは正直に話してくれて、また謝られる。
…でも、教えていいのかな。使用人だって、しかも住み込みだって。
季龍さんが公言していない以上、私から言うのはためらってしまう。
それに、下手なことをして彼らの信用を崩すことだけはしたくない。
やっぱりやめよう。話したばかりのクラスメイトが信用できるほど、今私がいるところは甘くない。
『ごめんなさい。私の口からは言えません』
タブレットに打ち込んで2人に見せる。明らかに落胆した顔をする麻琴さんに対して、麻夏くんは表情が動かない。