私のご主人様Ⅱ
先に図書室を出て教室に戻る。教室はやっぱり静かな方で、昨日まで季龍さんに群がっていた女の子たちも大人しい。
席に戻ると、季龍さんの視線を受けた。
「…借りて来なかったのか」
『テスト終わってから借りに行こうと思って、今日は下見です』
「…そうか。誰かと話したか」
肩が跳ねそうになるのを抑えて頭を回転させる。
『2人生徒がいて、声をかけられました』
「…そうか」
それだけ聞いて季龍さんの視線は外れる。
試された?何を聞かれたのかまで聞いてこないのが逆に恐ろしい。
まるで、話したことを確認するかのようだった。
とりあえず席に座り、次の授業の教科書を出す。いつどこで監視されているか分からない。下手な嘘はつくまいと心に刻んだ。