私のご主人様Ⅱ
「ねぇ、葉月さん」
その日の授業終わり、帰る直前になって麻夏くんが声をかけてくる。
季龍さんは様子を伺うように麻夏くんを見るけど、無視する様子も昨日のように怒る様子もない。
それを見て麻夏くんに視線を向ける。
「昨日は悪かった。怪我、大丈夫?」
「コク」
「ならいいけど…。これから、分かんないとこあったら聞きたいんだけど、いい?」
「…」
季龍さんに視線を向ける。でも、視線は返って来ない。
…いいのかな。麻夏くんに視線を向けて頷くと、少しだけ笑みを浮かべてくれる。
「麻夏っ勝手に行かないでよっ!!」
唐突に麻夏くんの背後から突撃をかました麻琴さん。もちろん麻夏くんは静かに怒ってる。
麻琴さんは私を見ると笑って手を差し出してくる。
「麻夏の双子の姉の麻琴です。仲良くしようね、琴音ちゃん」
「…」
一応あいさつはしてくれるけど、初めて話す人に対するあいさつじゃないような気がする。
とりあえず握手はして、苦笑いを浮かべた。