私のご主人様Ⅱ

「琴音ちゃん一緒に…」

「琴音」

麻琴さんの声を遮った季龍さんの声にすぐに視線を向ける。

すると、季龍さんは先に歩き出して教室を出ていってしまう。

麻夏くんと麻琴さんに手を振って、急いで季龍さんの背を追いかける。

追い付いても季龍さんは振り返らない。もう話すなとも、なんとも言わない。

話すくらいならいいのかな…?

なにも話さないまま校門を出て、伸洋さんが迎えてきてくれた車に乗り込む。

「おかえり~。若何拗ねてんの」

「?」

伸洋さんの言葉に耳を疑う。拗ねてる?季龍さんが??

思わず季龍さんを見上げるけど、すぐに目を塞がれて何も見えなくなる。

「下らないこと言ってんじゃねぇ」

「へーへ。んじゃ、しゅっぱーつ」

動き出した車。また静まり返る車内。

…伸洋さんがからかっただけだよね?うん、絶対そうだ。

だって、そうじゃなきゃ意味分からないもん。季龍さんが拗ねるなんてそんなこと、あるはずないもん。
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