私のご主人様Ⅱ

なにも話さないまま屋敷につくと、季龍さんはすぐに自分の部屋に行ってしまう。

その姿はいつも通りで、特に変わったところなんてなかった。

「琴音ちゃん、どうした?」

ずっと季龍さんの背を見ていたせいか、奏多さんに不思議そうな顔をされる。

首を横に振って、奏多さんと暁くんの背を押して一旦部屋に戻る。

着物に着替えて台所に行こうと廊下に出ると、救急箱を持った暁くんに部屋に押し戻された。

「座れ、湿布変えてねぇだろ」

「“夜まで変えなくていい…”」

「あ?」

「!?」

なんで睨まれたんですか!?

暁くんの圧力に負けて座ると頬に貼ってある湿布を取られ、しかめ面をされた。

「我慢しろよ」

「!!」

湿布貼るだけじゃないんですか!!

軟膏を手に取った暁くんから逃げようとするけど、奏多さんに捕まって逃亡失敗。

何もしてなかったらまだ大丈夫だけど、触られると痛いから嫌なのに…。
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