私のご主人様Ⅱ
「こ、琴音ちゃん声、声出たよね!?」
「…!」
そういえばそうだ!しかも思いっきりでた!
頷いて喉に手を当てる。で、でもなんで…?
「琴音ちゃんなんか喋ってみて!」
「“あ~”…?」
あれ?もう1回あーと言ってみる。…言ってるつもりなんだけど、全然声にならない。
…出ない。
「出ないのかよ」
「コク」
「…そっかぁ。まぁちょっとずつ出るようになるかもしれないしね!琴音ちゃんよかったね」
よしよしと頭を撫でてくれる奏多さん。嬉しそうな顔をしていたけれど、だんだんとその表情が曇っていく。
首をかしげると、奏多さんはため息をついて私を見る。
「なんでやっと聞けた琴音ちゃんの声の一発目が大嫌いって…俺泣くよ?」
「!」
そう言いながら拗ねて見るからに落ち込む奏多さんに焦る。
そ、そんなつもりで言った訳じゃないのにっ!た、ただどうしても手当てが嫌で…。
何とか伝えたいのに奏多さんは顔をあげてくれなくて、声が出ないから全然伝わらない。