私のご主人様Ⅱ
静かな車内。いつものように眠気が襲ってきてうとうとしていると、一瞬空気がピリッと電気が走ったような気がして、沈みかけた意識が浮上する。
…何だろう。なんか、変だ。
様子を見たくても視界が塞がれているせいでなにも分からない。
手探りで季龍さんの手に触れると、目を塞いでいた手が離れる。見えた季龍さんの目は鋭くて、思わず緊張が走る。
「琴音、じっとしてろ」
その言葉と共に後頭部に手が回り、季龍さんの胸に顔を押さえ付けられるような形になる。
っ…こ、これはこれで緊張するんですが…!
顔が熱くなる。やだ、なにこれ…。離れようにも結構強く押さえつけられているせいで動けない。
固まっていると、車が右に曲がる。そして、すぐ左…右、右。
「振り切る」
「っ!?」
最後に右に曲がった瞬間、伸洋さんの低い声が響いた。
急にスピードを上げる車。季龍さんに抱き締められると同時に思わず季龍さんの背に手を回す。