私のご主人様Ⅱ

「口開けんなよ!!」

「ッ!?」

遠心力で体が振られそうになるのを、季龍さんの力で押さえられる、

何が起こってるの!?なんでいきなり…。

自分が置かれている状況も理解できないまま、ただ季龍さんにしがみつくことしかできなくて、固く目を閉じる。

お父さん、成夜…。

しばらく乱暴な運転が続いたけれど、急に運転が優しくなる。それでも怖くて季龍さんにしがみついたままだ。

「…若、とりあえず戻るけどいいよね」

「あぁ。…琴音を置いたらすぐに出る」

「了解。…ここちゃんごめんね。もう大丈夫」

伸洋さんの声に恐る恐る目を開ける。まだ緊張は解けきっていないけれど、一応危機は去ったみたい。

…びっくりした。息を吐き出すと、頭を撫でられる。顔をあげれば、季龍さんは窓の外に視線を向けていて、かっこいいななんて思ってしまう。

って、近い!!!

すぐさま背中に回していた手を離して距離を取る。

き、緊急事態だとはいえ、主に抱きつくなんて!!

ダメだ。最近緩んでる。緩みすぎてる!!
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